常総の野犬多発地帯。
野犬と言われるけれど、攻撃もなく、おだやか。
人を知らないだけ。
臆病なだけ。
じつは、もと飼い犬で、
捨てられたり迷ったりして、おなかをすかせて放浪しているだけ、というのもあります。
そもそも人が棄てた犬が繁殖してこうなったのです。
だから、人に責任があります。
人を見れば、警戒して遠巻きに離れていったり、何かもらえるかと近くまで来たりする犬もいる、でも1、2mくらいまで。なかなかつかまらないのです。
いざつかまれば、からだを硬くしながらも、
抱っこもさせたり撫でさせることもする、ただ、とても怖がりで、自分から甘えて寄ってくるようになるまでには時間がかかります。
最初は声もあげない。
捕獲して、しばらくずっと犬小屋に隠れている状態から、だんだんに変化が表れる。
散歩やごはんの時間には、小屋から出ているようになる。
こちらをみつめている。
分かり合うようになる。
私たちは慎重に、ときには大胆に犬に接する。
事故防止、脱走防止が第一。
要求や催促の声が出るようになればしめたもの。
怖がりながら、甘えたい。
逃げながら、からだを近づけてくる。
リードの付け替えのために触られると固まるが、
それが散歩の前の儀式だと理解すれば
受け入れる賢さがある。
最初は前肢を突っ張り、こちらの手をどけようと抵抗しても、重いチェーンのまま散歩するのと、軽やかなひもリードで散歩するのとでは、快適さも断然ちがう。
毎日の散歩で、犬もそれが分かってくる。
こうちゃん、カイちゃんも、ひもリードに付け替えてお散歩に行けるようになりました。
先月にはあり得なかった変化です。
ののいぬたちを見守り、助けようとする人たちがいたからできたことです。
ここには、水がありません。
手分けをし、ペットボトルで水を汲み、ストックをしておきます。
なくなれば、空のペットボトルを積み、車で水道のある場所まで汲みに行きます。
日々のお世話の汗と涙の結晶のような、常総シェルター。
警戒と甘え、そのパーセンテージがだんだん変わり、ぐっと慣れてくれるようになるには、最低2年はかかる。
覚悟で始めたシェルターでした。
野犬には、飼われていて、ただ繋がれていない犬も混ざっています。
そんなときには飼い犬と交渉し、係留と去勢を説得します。
ひとつひとつ、やってきました。
*****************************
3月に一般の方から、睡眠薬入の団子をまいて野犬が一斉に処分されると電話相談があり、
最初に現場を見に行った会員から、
おかめさん、犬たちが可哀想だ、
助けてあげて、と泣かれました。
この会員さんに泣かれると弱く、最後までいっしょにやるから、と言われて、私も現場を見に行きました。
会としての取り組みが始まり、スタートしましたが、終わりのない底無し沼だと感じました。
野犬を馴らして生かす、
時間をかけていかねば解決はしない、
一見して減ってもまた戻る、
継続をして啓発の基地とする、
でなければセンターに入っては殺される子犬の数は減らない、
鳥飼や牛飼いや梨畑や田畑で働く住民のなかに入って、溶け込むようにして活動していかないと、
変わらない
時間がかかるだろう、おそらく30年は。
動物行政、飼い主のいない犬の管理は、茨城県、茨城県動物指導センターが行う仕事で、センターが中心となり、イレギュラーな、生かすという道を求めながら、私たち民間ボランティアがそれをサポート
できればよいと思ってきました。
殺すだけでなく、生かす方法があり、それを官民一緒に経験する。
理想だけではなく、実践をしている。
そのことの重み、
そして大きな赤字、
ボランティアの不足、
すべての人にはこの取組を理解してもらえないこと、
理想と現実の差を感じています。
断念を迫られています。
継続をと、励ましをもらうこともあります。
でも、
お金と場所と人。
シェルターをやるうえで必須の三拍子がどれも欠けています。
1月12日にはシェルターの契約が切れます。
残った野犬、たぶん10匹、目視された確実な数は7匹。
てんちゃん、No.10の、ののけん。
開腹去勢手術をして、明日にはカラーが取れます。
カイちゃん。No.1の犬です。いっしょにお散歩。
挫折したくありません。
最後までやらせてください。
By おかめ
↧
野の犬(ののけん)
↧