2015年3月、野犬毒餌まき掃討の計画が県により持ち上がり、常総市と茨城県動物指導センターによる住民説明会が開かれました。
説明会を聞いた住民たちから相談を受け、その内容を掲示板に流すと、数名の会員さんたちが現地を見に行かれました。
雑木林や畑に囲まれた広い畜産団地に、まだあどけない子犬や慣れた犬も含め、たくさんの犬がいたそうです。
夜、拙宅に、「おかめさん、あの犬たちを助けて」と泣きながら会員さんたちがやって来ました。
その日から、常総野犬の取り組みが始まりました。
「野犬なんかに手を出して」
「あんな場所に生かしている方が可哀想だ、人間が殺してあげた方がいい」
「生かすのはあきらめろ」
「毒まかずに、どうやって解決するの?」
と、相談した複数のボランティア団体から言われました。
でも見てしまったものは、助けるしか、しゃあんめよ。
野犬の保護が始まりました。他県の団体さんにも色々と教えて頂きました。福島警戒区域の犬保護に経験あるリスタさん、栃木マスターさんです。
地域住民の餌やりUさんが驚くほど犬の情報を持っておられました。3つの群れ、血液関係、行動エリア。また犬への愛情も半端ではありません。
4月から、地を這うような捕獲活動が始まりました。
2015年4月30日の常総市役所での会議には、小川一成県議会議長をはじめ、複数の自民党県議、あらゆる会派の市議、住民、獣医師会、県内4つのNPO保護団体代表、県外の野犬保護に強い保護団体が参加しました。
色々な意見が出されましたが、私たちcapinは、農家さんや区長さん交えてよく話し合い、野犬を毒で殺さないで、捕獲器を使って保護し、慣らして譲渡をする道を選びました。
川崎の犬猫救済の輪さん、栃木動物緊急避難所のマスターさんが、サポートくださいました。
6月に、官民協働のワーキンググループが結成され、8月に常総シェルターがスタートしました。
第1号の保護犬がカイちゃんでした。
にこ、サブ、より、いつみ、むつみ、ななみ、、、と、シェルターに入りました。
しかし、ワーキンググループ結成前に保護した多数の犬は、勝手に保護したcapinの自己責任とされました。
センターに収容されてしまったケイを引き出したらパルボ発症。これを機に、センターに蔓延するパルボウイルスの問題を全国に訴え、センター収容犬への全頭ワクチンが茨城県で実現しました。
奇しくも同年9月に鬼怒川氾濫の水害が起こり、被災動物の支援が重なって、それからは常総市の犬猫はセンターから全頭引き出し、殺処分ゼロを続けてきました。
水害から、野犬シェルターは何度も潰されそうになりました。県と市の職員たち10人以上に、会議で吊るし上げられました。
シェルターを閉鎖し、犬をcapinが引き取らねば、センターで殺す、とセンター長からは何度も脅しをかけられました。
☆☆☆☆☆☆
いつも、助けて下さったのは、小川一成県議と中村安男自民党市議でした。
今に条例作ってやっから、待ってろ。
小川県議にそう言われて、出来たのが、茨城県殺処分ゼロ条例です。
常総野犬はcapinだけで108匹を保護してきました。住民のUさん、犬猫救済の輪さん、栃木マスターさんが保護された犬は含まない数です。
各地域で感じ方も取り組みも異なるでしょうが、常総市では、毒まきをしないで解決をし、その結果、センター犬への全頭ワクチン実現、市営野犬シェルター開設、3年にわたる殺処分ゼロを達成できました。
野犬掃討を目的とする平時の薬殺は、明らかに違法です。手当たり次第に地域の動物を薬殺する、と説明があったとき、エリコさんがもし野生動物や子どもが食べたらどうするのか、県の生活衛生課長さんに質問したら、そこにいて見張っている、と回答されました。ずっとそこに居続けるなんて無理だし、ずっと見張っていることをしたらいわゆる野犬は近づかないでしょう。ナンセンスです。
他の自治体の条例にもあるからと、毒を捨てたり移動させることに、さらに罰則を強化した茨城県。毒でなく睡眠薬とはいえ、致死量の睡眠薬で殺してしまうことに変わりはありません。放し飼いの犬も地域猫も野生動物も被害にあうのです。
イチゴ、若葉、大ちゃん、カイちゃん、ダイヤ
このシェルターに来てから、ダイヤがいちばん変わったそうです。
まだつかまらない最後の2匹には、八間堀さんとU君が交代で毎日ごはんをあげに通っておられます。餌場に張り付くようになれば、また捕獲の計画に移れます。
センター引き出し。
捕獲されたときには首輪もしていなかった、
でもなつこくて、人に飼われていたのだね。
朝犬シフトに入ってくださる協議会のN様。
そうです、やっと、常総市にも動物愛護協議会ができたのです。
里親会もスタートしました。
N様のお宅には車椅子の黒柴ちゃんがいます。
小さな3か月くらいの子犬のときに、ビニール袋に入れて捨てられていたそうで、袋から出してみたら、下半身が動かなかったそう。お腹から上は普通のワンちゃん。8年前のその日から、排尿排便の世話を続けておられる女性です。
新しい仲間を得て、スタートしたJOSO WAN ZERO。
今、ヘチマやトランペットフラワー、朝顔、金木犀で賑やかです。
常総シェルターでは、ボランティアさん大募集しております。
by 鶴田おかめ