蓮畑に張ったネットに鷺がかかっているのをたまたま通りかかった方から相談がありました。
鷺は網のなかを何度も飛行するが、網に翼がかかり、逃げられずにパニック状態である。
網には穴が開いていて、鷺はそこから入ったようである。
穴が意図的に開けられたようにも見える。
仲間の鷺が心配して近くにとまり、様子を見守っている。
畑の持ち主に、鷺を放してやるよう頼んでも、見せしめのためだし、死んでも自然淘汰だ、と網を外さない。
一週間前から鷺は囚われの身となってそこにいると聞いた。
無論何も食べず、おそらく体力も尽き、すでに限界を迎えているだろう。
何人も、鷺を放すように諭したが、畑の持ち主は耳を貸さない。
昨日、交番に相談し、警官が現地に出向いたが、話の内容を教えられないという。
そこで夕方にまた見に行ったが、鷺は相変わらず網のなかにいて、しょんぼりしていた、というものでした。
交番でなく警察にかけあうため、証拠になる写真を求めました。
すると相談者さんは、今朝、かなり早い時間に見に行かれ、一時間くらい、苦しむ鷺の様子を何枚も撮影して下さいました。
会員さんにも呼び掛け、現地に確認に行ってもらい撮影も頼みました。
相談者さんの携帯に、激しく低空飛行を繰り返す鷺の姿が映っていました。パニックに陥った鷺の羽がネットに何度もぶつかり、傷む様子が撮されていました。
管轄の警察に通報し、訴えましたが、まるで取り合ってくれません。
鳥獣保護法違反の疑いがある、と弁護士に聞きましたし、野生の鷺をつかまえることは違法行為、これには事件性がある、前の日に交番に相談しても動いて頂けなかった、鷺の体力も限界である、警察がこれに動かないなら別の手段をとらねばなりません、と強く話したら、別の警官に電話が変わって、今から現地に見に行く、となりました。
夕方に警官から報告を頂きました。
警官が駆けつけたときには、
網は取り除かれていて、すでに鷺は飛び立ったあとだった、ということでした。
相談者さんの助けたいという熱意が、鷺の命を救ったのです。
電話でお話した素朴な印象とはうってかわり、お会いして驚きました。
金髪、サングラス、お化粧、きらきらした衣装。ロックバンドのギタリストのような、華やかな方だったのでした。
秘めたやさしさにより、鷺は助かったのです。
蓮根の産地として有名な茨城。蓮畑の網に引っ掛かり、命を落とす鳥について、以前も相談を受けたことがあります。
鳥の羽がかからないような、中に入り込めないような、素材や網の張りかたの工夫があれば、蓮も鳥も安泰のはず。
生き物が苦しんでいるのを見過ごすことはなかなかできないもので、心が辛くなります。
まがりなりにも日本は法治国家です。
それは違法ですよ、受け入れられないことですよ、
と言ってよい。
子どもに見せられますか、と
おかしなことに諦めずに声をあげていく。
鷺で終わらず、人の問題になりうるから。
鷺に対して残酷なことが赦される社会は、人の苦しみや痛みに対しても反応が薄い社会です。
by おかめ
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たかが鷺、されど鷺
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