大変お世話になっております「フェリシモ猫部」様の猫ブログ にて、
ＣＡＰＩＮをご訪問頂き、当会の活動をご紹介頂きました。
ブログ記事を転載させて頂きます。
2016年07月13日
「動物保護活動団体CAPINさんの事例のご紹介」
猫を愛するみにゃみにゃさま。ネコノミスト武井です。毎日暑い日が続きますが、お元気でお過ごしでしょうか。
前回、猫・犬の殺処分を減らすために頑張っている自治体の事例をまとめましたところ、｢どうして自治体によって殺処分の取組みに差が出るのか？｣という重要なご質問を頂きましたので、ネコノミストなりに考えたご回答をさせていただければと思います（コメントを頂いたみにゃさまありがとうございます！）。
動物の殺処分に関するルールは、第2回の法律のあゆみ でご説明した通り、大枠は環境省の「動物愛護管理法」にて決められていますが、具体的な運用面については、各自治体の「条例」で規定されています。そのため、条例が異なれば、取り組みも異なります。
これまで私がお話を伺った自治体のご担当者さまは、非常に熱心にこの問題に取り組まれ、様々な工夫をされておられました。どうしても、ご担当者の動物に対する熱意によって取組みに差が出るということはありうると思います。
また、自治体の予算事情により動物の問題にどの程度予算配分できるかが異なるでしょうし、市民団体やNGO/NPOの活動が活発な地方は、引き取られ、殺処分を免れる動物の数が多くなると考えられます。また、知事などの行政のトップが｢動物好き｣だったために、その取組みも迅速、という事例も見られます（秋田県の佐竹知事の猫好きと、秋田県の殺処分ゼロへの取組みは有名ですね）。
今後も殺処分ゼロへ取り組む自治体は増えて行くと思いますので、ネコノミストも注意深くウォッチし続けて行こうと思います。
動物保護活動団体CAPINさんの事例のご紹介
さて今回は、みにゃさまの関心も高い「地域猫活動」にも取り組まれている団体さんの事例をご紹介したいと思います。フェリシモ猫グッズの販売額の一部である「フェリシモの猫基金」、フェリシモメリーポイントの「動物たちの保護と飼い主探し支援」、 毎月ひと口１００円「フェリシモわんにゃん基金」等でみにゃさまからご支援をいただいている団体のひとつ 「NPO法人動物愛護を考える茨城県民ネットワーク（通称CAPIN）」さんです。CAPINさんの活動レポート は別途ご覧頂くとして、今回ネコノミストがCAPINさんを訪問取材させていただいた中から、「これは他の団体さんにもきっと参考になるだろう！」と思った点を中心にレポートさせていただければと思います。
CAPINさんの組織概要
CAPINさんは、代表の鶴田さんが中心となって2008年に設立された団体です。鶴田さんはイタリアに留学経験があり、留学中にイタリアで「愛護動物及び飼い主のいない犬猫の繁殖防止に関する法（1991年法律第281号）」が成立し、他国に先駆けて犬や猫の殺処分を禁止した国になったことから、動物福祉に対して興味を持たれたそうです。
日本に帰国後、鶴田さんは1匹の猫を保護したことをきっかけに、動物保護活動を開始しました。やがて筑波大の留学生から「野良猫を助けて」という要望を受けるなど、つくば市周辺を中心に野良猫の支援を広げていきます。2011年には仲間とともにNPO法人を設立、現在は会員約310名の大きな組織になっています。
現在の活動内容は、主に野良猫・犬の保護・譲渡活動、地域猫の推進活動、行政との協議会の設置・運営、殺処分や動物保護に関する広報・イベント活動等を行っています。現在は、①土浦市のシェルター（猫30-50匹、犬を15-20匹）、②ご自宅（40匹程度）、③常総市の野犬シェルター（常総市、茨城県との協働事業）、と3カ所で猫・犬の保護活動をされています。
システム化された運営
会員約310名のうち、実働されているボランティアは約80名程度とのことで、常に様々な人が動物のお世話をしているそうです。そのような状況においては、誰がお世話に入っても一目瞭然で前の方からの作業を引き継げるように、また命を預かるお仕事ということで、ケアの間違いを少しでも減らすように、工夫がいろいろとこらされています。例えば、犬のケアについては、1匹に1冊のケアノートがあり、誰がいつ薬や餌を与えたか記載されています。また、薬に関しては人間同様に薬ケースに分け、投与の間違いがないように配慮されています。お散歩もホワイトボードで実施済みか否かが分かるようになっています。
（左）薬の投与が必要なワンちゃんのための薬ケース
（中）ワンちゃん1匹につき1冊のケアノート
（右）ワンちゃんのリストと、お散歩済みかどうかをマグネットで表記
その他、CAPIN入会の誓約書、新規ボランティアさんへのボランティア誓約書、説明用チェックリスト、里親希望アンケート、譲渡誓約書（猫用、犬用）等、書類のマニュアル化が徹底され、新規にボランティアとして活動に参加される方、保護された猫・犬を引き取りたい方等との関係がスムーズに繋がるように工夫がなされています。
幅広い連携・ネットワーク
動物の保護団体さんの中には、「独自の保護ポリシー」のようなものを持ち、他の保護団体さんとあまり交流を持ちたがらないところもあると聞きます。しかし、CAPINさんは、設立当初から、つくば市や茨城県といった行政との話し合いを重ね、野良猫の住みかにもなっていた地域などとも連携し、地域の猫・犬たちを保護し続けています。また、東京、埼玉、福岡、宮崎、富山等で個別に活動する動物ボランティア・団体とも情報交換を重ね、連携を図っています。例えば、猫の捕獲の効率的な方法、保護後の脱走防止策、感染症の拡大防止といった技術的な項目から、行政や国との協議や連携の経験など、お互いに惜しみなく情報交換しているといいます。
また、CAPINさんは「全国動物ネットワーク 」の事務局として、多数の動物保護団体・NPOさんたちの連携も促進しています。また、鶴田さんは海外の動物愛護に関する制度に知見を持っておられ、団体としても海外の動物愛護法を紹介したり、各自治体の法律や条例の改正等から、動物の福祉向上を目指す道を探っていらっしゃいます。
活動の広がり
CAPINさんの活動拠点であるつくば市内の地域猫管理エリアにて、小屋の設置・管理を通じた野良猫のケアとともに、地域内・周辺野良猫の定期的なTNR（注1）を繰り返し実施している他、リリース後のマネージメント（新入り猫のTNR、治療、最期の看取り、子猫なら保護譲渡）を行っています。
地域猫お世話エリアに設置されたコンテナボックスを利用した野良猫のシェルター。
ボランティアさんがそれぞれ1日おきに餌を補給することで、毎日地域猫の様子を見ることができる。
CAPINさんと共同で地域猫支援をしていた学生ボランティアさんは、つくば市で野良猫の保護・譲渡活動に参加したあと帰省し、地元で野良猫・地域猫の支援活動に携わる人もいるそうです。CAPINで学んだ猫の保護・支援のノウハウが、他の地域にも拡大しているという好事例でしょう。
野良猫のTNR活動について
CAPINさんは野良猫のTNR活動も積極的に実施されています。CAPINさんでは、年間30回程度、土浦シェルターを「稲垣動物病院分院」として開放し、毎回30~50匹の野良猫が避妊・去勢手術を受けています。その結果、2015年度に避妊・去勢手術を受けた野良猫は、にゃんと1,261匹！に上ります。CAPINさんは2008年の活動開始以来、年間100～150匹の野良猫のTNRを実施してきたことを鑑みますと、累計では2,000匹もの猫達の避妊・去勢手術を行い、それらの猫達が出産したであろう仔猫達（注2）の殺処分を防ぐことができたと考えられます。
CAPIN代表の鶴田さんと黒猫ちゃんが、取材中のネコノミストチームをずっとアテンドしてくれました。
フェリシモ猫部の「わんにゃん支援基金」は、2003年の発足以来、累計1億8,887万円！（注3）という大きなファンドとなり、CAPINさんを含め全国の動物保護の団体さんの活動に活かされています。ネコノミスト取材班は、今後もこういった団体さんへの取材を通じて、みにゃさまと動物保護のグッドプラクティス（好事例）を共有できればいいな、と思っています。
みにゃさま、毎日暑い日が続きますが、水分補給を忘れずに元気にお過ごしください！
（注1）TNR活動とは、捕獲（Trap）、去勢・不妊（Neuter）、戻す（Return）この頭文字をとった造語です。
（注2）仮に1年に2回、4匹ずつ仔猫を10年間出産したと仮定した場合、1匹の雌猫が生涯に出産する仔猫の数は80匹に上ります
（注３）メリーポイントによる支援メニューの設立が2003年。その後、2010年10月の猫部発足に伴い、商品価格の一部が基金となる「フェリシモの猫基金」が誕生。2011年にはお客さまのお声におこたえする形で、毎月100円から支援できる「フェリシモわんにゃん基金」が設立されました。2015年からは、Yahoo!ネット募金などからも支援できるようになり、2016年現在では年間4,000万円を超える基金額となっています。
（転載・ドラメイ）