鹿嶋市のガソリンスタンドから保護された4兄妹のうち、
歩き方がおかしいなど何らかの障害があると見られていた音芽(おとめ)ちゃん。
4/9、かかりつけで診て頂くため、ガソリンスタンドから来た音芽ちゃんを自宅でお預かりしました。
診断の結果は、小脳の障害の可能性が高いが、かなり軽度と思われる。
(※診察結果の詳細は文末に記載します)
音芽ちゃん、上記のサイトで紹介されている症状にほぼあてはまります。
しかも、生まれてから、ガソリンスタンドの事務所内の住居からほぼ出たことがない、
散歩体験ゼロという特殊な成育歴。
そりゃーもう、
いきなり知らない人の知らない家に連れてこられるわ、
初めて家族犬と離れてひとりだわ、
音芽、泣いちゃう…だって、怖いんだもん…
めちゃくちゃ怖がって引きこもってるし、
小脳に障害があるなんて一体どんな大変なことになるのかと、こちらも構えてしまいました。
初日から10日ぐらいは、1日に何度も下痢まきちらしが続き、
本犬も下駄箱の下から出てこず。
ドライフードを食べず、出血するまでアゴを床にすりつけながら皿に接近し、
鼻づらで皿をひっくりかえし、散らしたフードを食べる。
水の皿も何度もひっくりかえすので、これならひっくり返せまい!と鍋を置いたところ、
数分後、この有様。
毛布とペットシーツ突っ込んでやったわ!!あはは!
もう笑うしかありません。
最初は、小脳の障害で距離感がつかめず、フードの皿を倒して撒き散らしたり、水を倒すのか?
と、障害と関係があるのか悩みましたが、
ドライにウエットを混ぜたら、アゴすりつけもせず、ちゃんと皿から食べる。
水皿をペットボトルの皿にしたら、普通に飲む。
つまり、
『こんなもん食えっか!』『こんな皿から飲めっか!!』
ということだったようです。
…お嬢様か!!
そう、音芽さんは名前の通り、乙女なお嬢様なのです。
そして、障害がどうというより、何より愛らしく、面白い。
ばぁやは、お嬢様にすっかり魅了されてしまいましたよ。
病院に行けば、緊張のあまり、棚の一部に変わり身の術。
「私はいません」
病院で緊張しすぎて、犬相が変わりタレ目になる。
「私、音芽じゃありません」
塀ぞいを歩くと、忍法壁走りになる。
散歩も恐怖でしかなく、風にビビる、自転車にビビる、ランナーにビビる。
ゾンビ映画の主人公、または後ろから来る人を全て痴漢と疑う女性のように、何もかもにビビる。
緊張が高じてグルグル回り込むので、ばぁやも華麗に回転してやり過ごします。
お預かりして3週間弱、
今では、家中がトイレだったお嬢様が9割がたペットシーツにできるようになり、下痢も治りました。
外を歩くと緊張して、ヨロメキや歩幅の不一致(前足は4拍子、後ろ足は8拍子)が強くなりますが、
散歩も楽しむ余裕が出てきて、ここ数日で、やっと散歩でのトイレができるようになりました。
今は環境にも慣れて、愛情いっぱいにシッポ太鼓を打ち鳴らしてお腹を見せてくれます。
小脳に障害があるうえに、生まれてから今まで2年間散歩もしたことがないなんて、
一緒に暮らすのがどんなに大変かと思われるかと思いますが、
今では、散歩でヨロメキやぶつかってケガしないように注意する位しか、
特に気をつけることはありません。
これでペットシーツでのトイレが完璧になり、お散歩がもっと楽しくなれば、
小柄だし、むしろ、飼いやすい子とさえ言えると思います。
何よりも、本当に愛らしくて愛情いっぱい、
一言でいうと『純』
気持ちや考えていることが全部まっすぐ伝わってくる、ピュアで子犬のように天真爛漫な子です。
ちょっと歩き方が特徴的だけど、それも音芽さんの素敵な特性の1つです。
障害を上回る、不思議な魅力のある音芽さん、気になる方がいらっしゃいましたら、
是非ご連絡下さい!
トイレトレーニングのため、スーパーワイドペットシーツを沢山使用しています。
ご支援をどうかよろしくお願い致しますm(_ _)m
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4/10、会員掲示板への診察報告より:
動きがおかしいことについて(歩き方がぎこちなく歩幅が合わない、よろける、転倒する、眼振、顔の小刻みな動き、足先の動作反応確認で前足先が反応しない)
→症状から、小脳の障害の可能性が高い。
意志と体の動きがついていかない、距離感がつかめない。
先天性、ウイルスによるもの、外傷など小脳障害の原因は特定できない。治療法はなく、生活の上で事故がないよう気をつけていく。
小脳の異常(もしかしたら大脳も少し影響している可能性もある)を確認したい場合はMRIとなるが、全身麻酔が必要で、かつ特定できても治療できるわけではないので、
里親譲渡の際に、MRIについては里親さんの判断に任せるのが良いのではとのこと。
また避妊について、小脳の事を考えると、全身麻酔によってテンカンを発症するきっかけになる可能性がある(MRIも全身麻酔なので同様)。
今テンカンや痙攣がなくても、この先そういったことがないか注意して観察する。
今のところ、長期経過観察していないので確実には言えないが、現段階では避妊はお勧めしないとのことです。
里親さんと相談して、てんかんのリスク、将来の婦人科系の病気のリスクとよく考えて判断してもらうのがいいのではと。
猫の小脳障害はわりと多いが、犬は珍しくレアケースだそうで、先生も初めてだそうです。
原因を明らかにすることは難しいが、小脳の障害がメインの原因と思われる。
なお小脳の障害の程度は軽いとのことで、日常生活を音芽ちゃんなりに上手に過ごせるよう、
お世話の工夫や事故防止に努めれば、理解のある里親さんなら大丈夫だろうとのことでした。
■シェルターでの生活上の注意→事故防止、様子の変化を注意深く観察
・係留リードが危険なのでフリーでいられる部屋にする
・転倒しても怪我をしないような部屋作り
・散歩中など、体が思わぬ方向へ行ったり、ふらっとよろめくので、落下や車の事故に注意する。平たんな道を歩く。
(byドラメイ)