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命のリレーの現場から ~熊本地震被災犬の恩返し編~

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命のリレーの現場から ~熊本地震被災犬の恩返し編~

 

1月21日午前11時

おかめ代表から電話あり。

「あれもこれも足りない。皆様に物資をご支援いただけるように呼び掛けてくださいませんか

連日、CAPINのブログは悲しげな表情の犬たちの写真で埋め尽くされている。

重い気持ちでメモを取りながら、

「でもさすがにシェルターには、これ以上スペースがありませんねぇ」

「実は京都で長年シニアのお預かりをされている、ベテランボランティア『かあたん。』様から、3頭を引き受けますとお申し出をいただいているのですけど……」

「はぁ、京都ですか。遠いですね」

「どなたか搬送してくださらないかしらねぇ」

 

ヤヤ↓

 

たまたま緊急の用事で23日から実家の大阪に帰省する予定だった私。

息が詰まりそうになりました。

ああ、なにか、強い風が吹いて宙に持ち上げられた感じがする。

これはやらなきゃいけない。

「空路で伊丹まで運び、そこでお渡しできるなら私が搬送しましょうか?」

(でも明後日というのは急すぎる。それに伊丹から京都までどうするつもりだ、自分)

 

先方に連絡してみるといって電話が切れた数時間後、

「せっかくのお申し出だけれど、やはり空港からの搬送が手配できない」

と、この話はお流れになってしまいました。

 

アトム↓

 

今回の搬送の対象は、ヤヤ、アトム、ロージー。

優しい優しいCAPINの代表を赤目の王蟲へと豹変させた、センターレスキューの第1,2,3号です。

視力も聴力も衰えて、静かに寝ている時間が多いシニアたち、まちがいなく元飼い犬。三頭とも柴犬のように見受けられます。

十年以上この子たちと一緒に暮らしていたであろう飼い主さん、どのような事情がおありだったのかわからないけれど、あとほんの数年、この子たちに僅かなスペースと静かな時間をあげることができなかったのでしょうか。

あのリノリウムの床の冷たさや、首に食い込む引き縄の恐怖を味わわせずに、そっと看取ってやることができなかったのでしょうか。

 

ロージー↓

 

私事で恐縮ですが、私は阪神淡路大震災で身内が被災し、白い柴犬を亡くしました。

先代の柴犬は17歳で看取りました。

シニアの柴犬を見るとあの子たちを思い出します

諦めきれずに「犬 空港 送迎」だったかな、あれこれググったら、ペットタクシーというのを見つけました。

さっそく代表に連絡を入れて即予約。

絶対にこのバトンをリレーしなくては。

 

ロージー↓

 

翌1月22日午後。

おかめ代表から再びの電話。

弾んだ声で

「見つかったのよ、空港からの搬送ボランティア様が!

ペレちゃんの、あのペレちゃんのK様よ!

『かあたん。』様を乗せて、一緒に空港で受け取ってくださるって!」

 

あのペレちゃんとは、どのペレちゃんか。

 

ペレちゃん↓

 

2016年4月14日16日、最大震度7を二度も観測した熊本地震。崩れ落ちた熊本城の石垣は記憶に新しいし、復興はまだ道半ば。

あの地震の直後、代表は現地入りし、CAPINは被災犬猫をレスキューしました。

 

熊本地震 被災ペット支援

https://ameblo.jp/capin-blog/theme-10097280272.html

 

また、ペット連れでは避難所に入れないという問題を取り上げ、闘いました。

それが「ペレちゃん案件」。

なんの攻撃性もないシニアの飼い犬を、どうして余震の続く中、倒壊した我が家に残して行かれましょう。

 

熊本地震 被災動物支援 13歳ペレちゃんの同伴避難は叶うか?

https://ameblo.jp/capin-blog/entry-12166810553.html

熊本地震 被災動物支援 13歳ペレちゃんの同伴避難は叶うか?(2)

https://ameblo.jp/capin-blog/entry-12190437178.html?frm=theme

熊本地震 被災動物支援 13歳ペレちゃんの同伴避難は叶うか?(4)

https://ameblo.jp/capin-blog/entry-12209819957.html?frm=theme

北斗 そして2年後の熊本地震 被災犬ペレちゃん

https://ameblo.jp/capin-blog/entry-12378471935.html?frm=theme

さよならペレちゃん、さよならキッチー

https://ameblo.jp/capin-blog/entry-12417992405.html

 

ペレちゃんの看取りのボランティアK様と、「かあたん。」様はお知り合いだった。

そして、再び助けてくださるというので、急展開で、タクシーはキャンセル、当初の予定通り搬送をすることになりました。

 

人生にはいろいろな風が吹いている。

向かい風は苦しいばかりだが、日々、辛抱強く「追い風」を待っていれば、その風はある日突然に皆を巻き込んで連れて行く。

 

 

1月23日 午後2時

シェルターから羽田まで運転してきた代表から、三頭を託される。

長靴を履いた赤目の王蟲は、またセンターへとんぼ返り、新たにレスキューすると笑って去っていきました。

 

シニア3頭の大阪移動

https://ameblo.jp/capin-blog/entry-12435101953.html

 

犬三頭はパニックにもならず、静かに寝ていました。

たまに、頭を持ち上げて「はて、ここはどこかしら……う~ん、暖かいし、おなかも空いてないし、ま、いいか」という感じで再び寝ていました。

 

 

快晴、ソフトランディングで到着、大阪12℃。

笑顔の「かあたん。」様とK様のお出迎え。

ベテランのボランティア様というのは共通の雰囲気があります。

優しくて慈愛に満ちていて、でも芯がしっかりある、犬バカ猫バカ。

ご尊顔が公表できず残念! 素敵な笑顔、はんなり京都弁のお二人です。

 

かあたん。様(左) & K様(右)

 

この車の、このシートに、直接ケージを積み込んでいいのですか? と引いてしまうくらいのVIP待遇で三頭は運ばれて行きました。

 

不思議なご縁で再び繋がったK様、この度はお忙しい中、搬送を誠にありがとうございました、会員一同心より感謝申し上げます。

そして「かあたん。」様、看取りの預かりボランティアへのお申し出をいただき本当にありがとうございます。

この三頭が静かに虹の橋を渡るときまで、どうぞ安息を与えてやってくださいませ。

どうかどうか、あんじょうおたのもうします。

 

かあたん。様↓

 

ここまでで任務完了。

少しだけ個人的なあとがきをお許しくださいませ。

 

CAPINが熊本の被災動物支援のときにレスキューしたのは猫14匹、犬1匹。

熊本から飛行機で羽田まで搬送、その後、各愛護団体様、お預かり様へとリレーされ、猫は全頭譲渡いたしました。

 

熊本地震 被災動物支援 センター子猫14匹譲渡完了

https://ameblo.jp/capin-blog/entry-12200086834.html?frm=theme

 

犬はどうしたのかって?

 

「なずな」という名前を貰い、これを書いている私の横でイビキをかいて眠っています。

 

(文責; なずなママ)

 

  

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