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Channel: CAPIN(キャピン)公式活動報告
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ワタルを追って。【長編大作】

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犬が逸走してしまった時、どう捕まえるか。

逃げてしまった犬によって方法は分かれると思います。

今回、逃げてしまったのは野犬出身のワタル。リードはついていなくて首輪だけ。
聞いたときにはもう「捕獲機」で。
としか考えられなかった。

逸走直後、トライアル先のご家族が探してくださっていましたが、
そこに、預かりの黒わんさんがラッキーくんを連れてきてくださいました。

「もし、自主的に出てくるなら今日だけ。あとはもう出て来ない」
と思いました。

その日、ワタルは出てきませんでした。


捕獲機で捕まえるにはどうするか?
   やみくもにその辺に捕獲機を置いても、目的の犬はおそらく入りません。
   この時間に絶対ここに来るという情報が必要です。

「この時間ここに現れる」という情報はどうやって得るか?
   人間が一日中見張っていてもそこには来ません。
   気配が無いようにトレイルカメラを仕掛けて、情報を得ます。

カメラはどこに仕掛けるか。
   カメラの仕掛け場所が、後の捕獲機設置場所になります。
   どこでも良いわけではなく、そこに誘導して姿をキャッチします。

どうやってその場所に誘導するか。
   犬は多少食べなくても生きていけますが、やはり食べ物には釣られます。
   そのゾーンに現れたら、食べ物でカメラや捕獲機が置ける場所に誘導します。

そのゾーンはどうやって調べるか。
    目撃情報です!逸走において、一番頼りになるのは目撃情報で、有力な目撃情報を得られるかどうかが
    保護できるかどうかのカギになります。

目撃情報はどうやって得るのか。
    何もしない、声をかけるだけなら目撃情報は得られません。
    逸走後、どれだけ短期で、どれだけ広範囲にチラシで拡散できるかがカギになります。
    「明日ポスターを作って持っていく」
    では間に合いません。
    自分で現地に向かっている間にポスター制作をお願いして、コンビニのネットプリントで印刷して、
    すぐに貼ったり、聞き込みをしたりする。
    この作業が出来るかどうかで、後の捜索が上手くいくかどうかになってしまいます。



これを順序で追っていくと
ポスターを作って貼る。(協力してくださる方をたくさん募る)
目撃情報を得て、基点になる場所の特定をする。
食べ物とカメラを使って、捕獲機を設置する場所を定める。
捕獲機で確保。

という組み立てを最初からしておくことが重要です。


ワタルが最終的に保護できたのは、チラシを現地に貼ってくださった協力者が多かったからです。
もし、ワタルの姿を追いかけて、チラシがあまり貼られていなかったら、こうはなりませんでした。


私が、トライアル先のHさんと預かりの黒わんさんに送った最初のメールです。

捕まえる方法ですが、
現実的に考えて、ノーリードのワタルは野生化すると思います。
名前を呼んでも、コマンドを言っても、もう聞く耳は持たないと思います。(見かけたら一応試してみてください。)

捕まえる方法は、お腹が空くのを待って捕獲器で捕まえるのが一番可能性が高いと思います。

私の経験上、10日は飲まず食わずでも生きていけます=この間は見かけても捕まえられません。

逆に考えると、今日から10日間ぐらいで、確実に目撃情報を掴んで、居場所を固定させる必要があります。

まずは、目撃情報です!
目撃情報は、どれだけチラシを配るかに依ります。

やみくもにワタルを探すより、一人でも多くの人にワタルの存在をアピールしてください。

公園の来場者、周囲の犬のお散歩や、ウォーキングの人。会社の警備員など。


実際、目撃があったら、駆けつけられれば駆けつけて。いけなければ、行ける誰かに現場に行ってもらいますが、行ってももうすでにいないパターンが多いです。
万が一居ても、追いかけると、見境なく走り出して危ないですので、追いかけず名前を呼ぶ程度。
食べ物を置くと、そこに定着するかもしれないので、少しだけ食べ物を置きます。

捕まえるよりも、
遠くに逃がさないよう、定着させることを第一にお願いします。

Hさんには、明け方の時間に今日の所をまた探して欲しいです。
犬は早朝か、夜7時~9時に動きます。

明日の夜は私が動きます。

明日の夜はHさんは休んでください。

捕獲には1ヶ月は最低、要するので、そのつもりで体力も温存してください。

黒わんさんと私は地図をよく見ておいて、周辺の地理状況が分かるようにしましょう。

まずは、公園の周囲から、ポスター貼りとポスティング。

犬は水の音を聞きながら動くと言われているので、蓮沼川~谷田川も有効だと思いますが、私は公園の外周が可能性高いように思いました。

まずはその辺りを中心に聞き込みやポスティングを(ポスター貼りも)しましょう。
コンビニや郵便局、宅配屋さんや新聞屋さん も有効です。

これからたくさんのボランティアさんが手伝いに来てくれます。
どこを探すか(ポスティングをするか)と現場で聞かれ
「しみゃおさんに聞かないと分からない」
と答えると、とても無責任に見えると思います。

情報共有をして、「分からない」という話はしないようにしましょう。


ワタルはつくば市の大きな公園で逸走してしまったのですが、
私は隣接する山(森)に潜んでどこにも行っていないと踏んでいました。

ここ最近、逸走した犬の行動を見ると、いきなり遠くまで行けるほどの度胸がある犬はそうそういないからです。

「きっとあの山にいる。出てきたときは、きっと公園の外周をグルグル回る。そのために公園の外周にポスターが欲しい」
と思って、ご協力いただいた皆様に、公園の外周へのポスター貼りをお願いしました。


二日目(21日・土)
目撃情報なし

三日目(22日・日)
目撃情報なし

四日目(23日・月)
目撃情報なし

ここまで三連休。
逸走して興奮マックス 
人の出入りの多い公園なので、なかなか出ては来られないだろうと思った。

「もうすでにエリアを出ているのでは?」
という声もありましたが、CAPINボランティアさんの迅速な対応で、エリアも広い。
そうそう遠くまで目撃情報なしでは行けないだろうと思っていました。


五日目(24日・火)
日中、目撃情報なし。
さすがに焦って来ました^^;
口では
「絶対、山に潜んでいる!!」
って言っていたんですけどね^^;

あれ??見誤った??

と思っていたら夕刻。初めて公園そばのM地区で数名様から目撃情報が。

ここからワタルの行動は大胆で、
大きな通りに面したショップ→元の公園の方に向かう通り→大きな公園を挟んでM地区と真逆の交差点
と、次々に目撃情報が出ます。

みなさんに協力いただいたチラシ貼りは、レーダー探知機となり、ワタルの行動が見えます。

そして、街の方に消えていったワタルは、私の
「きっと公園の外周をグルグル回る」
という想像を超え、一気につくば市の町中に参上します。

そして、Hさんと町中で張っていた私たちに信じられない一報があります。

公園から6~7km歩き、Hさんの家の前に参上したということでした。
しかし、Hさん家のほうにもチラシは貼ってありました。

街中は想定外でしたが、少し離れたHさんの家付近は予測していたからです。
また私の送ったメールより

迷子捜索において、
「期待は薄い」
はありません。
あらゆる可能性は消さないでください。
ふらーっと見に行って遭遇したけど、何も持っていなかったということが無いように、
捜索に行く際は、リードや食べ物は必ず持っていってください。
何キロも離れて、自宅の方向も分からないはずなのに、帰ってきた。
なんていう話は珍しい話では無いです。
犬は人間以上に、遠くの山の景色、川の流れる音、太陽と家の位置関係を毎日のお散歩でよく見ています。
目撃情報が全くない以上、自宅付近も出没の可能性はあります。


メールを見たHさんはすでにお散歩コースに貼ってくださっていたのです。

この日は、カメラの用意はなく、トライアル先のHさんのお家には捕獲器しかありませんでした。
捕獲器に釣り餌のから揚げを入れて、捕獲器の周りにも小さくちぎったから揚げを置いて、ワタルが来るのを待ちました。
大事なのは「待っていない」こと。待っていると人間の緊張が伝わるので、私達は撤収しました。


六日目(25日・水)
翌朝、ワタルが入った連絡はありませんでした。
この日はチラシの印刷が届きました。
チラシは皆さんがそれぞれ印刷して貼ってくださいますが、長期化すると負担が大きいので、まとめて印刷を手配して頂き、シェルターに送って頂きました。

2000枚で10000円ぐらいでした。
安いです!ありがとうございました。
CAPINボラさんには想定外だった町中にチラシを配布してもらいます。

この日、来て頂いた黒わんさんに、チラシをHさん宅に移動して頂いたり、カメラをHさん宅に設置して頂いたりしました。
Hさんには帰宅後、この辺で一番現れやすそうな場所に、カメラを設置してもらいました。
ワタル捜索網は万全です!

七日目(26日・木)
Hさんが仕掛けたカメラにワタルが映ったと連絡がありました。
その他、近くのS地区でも目撃情報が出ます。
夜はまたカメラの仕掛けた場所に現れると踏んで、
捕獲器作戦に出ます!
問題は、まだここに餌があると認識していないこと。
それから、まだ餌の魅力には簡単には引っ掛からず、慎重だろうと思っていました。

というわけで、作戦は二段階で。
捕獲器の中に美味しいモノを入れて、最初は蓋を閉じておく。
来たときにワタルは食べたいけど、食べられない。
という状況を作り、
時間を空けて、もう一度見に来た時には、捕獲器が開いていて、思わず入ってしまう作戦。

釣りエサは「味」ではなく「匂い」で釣るので、中の釣り餌は定期的に変えてもらいます。


「どうかなー。心配だなぁ」
と思っていたら、
「どうやらカメラに映っていたのは違う犬のようです」

と連絡が入り、作戦は中止に。

目撃情報の範囲が狭まったこともあり、チラシ配布は一時中断に。


八日目(27日・金)
目撃情報が消えます。
こんな日もどこかでありますが、やっぱり不安ですね。


九日目(28日・土)
散歩ルートで目撃情報が出ます。
ちょうど夕方の時間、通りの多い道路に面した施設でした。
出先から戻ったHさんとニアミスに。
S地区に仕掛けたカメラにも映りました。
目撃情報がちらほら出ましたが、皆さん、一度ワタルを追ってくださってから連絡を頂いています。


十日目(29日・日)
S地区にて、ご協力のお願い。
お家に来たら、ご飯をあげて下さいとお願いしたり
追うと危険なので、追わないでくださいとお願いしたり。
現地で捕獲器を設置する場所も確定。
そこにシェルターで頂いたサバ缶をまいて、
「ここに来たら、エサにありつける」
とワタルにアピール


十一日目(30日・月)
朝、前日のサバ缶が無くなり、カメラにワタルが映ったと連絡がありました。
もう確実にS地区のこの場所を基点に動いていることが分かり、フードの場所も把握してもらったので
ここで捕獲を決行することにしました。
現在、捕獲器は自宅に1つだけ仕掛けてあります。
自宅の可能性は無くないので、そのままに。
夕方、2台新たにS地区に設置してもらいます。

七日目の時は、一旦捕獲器を閉めて、中のものを食べたいと思わせて、時間おいて捕獲器を開ける作戦でしたが
今回は、もうここに来たら何か食べられると分かっているので、こざかしい事は止めて、一発勝負で。

釣り餌も無し。
捕獲器の中に勝負メシだけ入れてワタルを待ちます。

私、周囲の人には言っていました。
「今日、入るか入らないか。今日入らなければ、長期戦は確定です!」
と。
そして、入ることも確信して、捕まった後のワタルの事も相談してました^^;


夜遅く、
「万博公園付近で歩いているワタルを見た」
という連絡を頂きましたが、
距離もあるし、見間違えもあるかと、深くは考えませんでした。


十二日目(1日・火)
ワタル確保の連絡はありませんでした。
カメラにも映らなかったということでした。
捕獲器を警戒して、近寄らなかったのか、前日の万博記念公園の連絡を考えると
日曜日のあいさつ回りを見て、現場を荒らされることを嫌がったワタルが場所を移動したか・・・。

とりあえず、様子が知りたいので、テストをしてみることにしました。
S地区に仕掛けた捕獲器は1台下げてもらいます。
S地区には
捕獲器とカメラと勝負メシ(サイコロステーキ)の場所と
カメラと勝負メシ(同じくサイコロステーキ)だけの場所。

また両方に現れなかったら、もう場所移動している可能性が高い。
カメラの場所だけに現れたら、捕獲器を警戒している。
両方に現れたら、前日はたまたまだった。
万が一、捕まればラッキー。

前日に引き続き、この日も夜、万博記念公園付近で目撃情報が出る。
「これは長期戦だなぁ」

と、思った翌日。



十三日目(2日・水)
朝、ワタル確保の連絡!!
良かった。本当に良かった。
前日、前々日の万博記念公園付近の連絡を見ると、ワタルの行動範囲が大きくなっていました。
もう、ここで捕まえるにはギリギリのタイミングでした。
もし、この日確保出来なければ、取り逃していた可能性も高いと思います。

迷子犬の確保は偶然です!
今回も偶然捕まえられただけ。次はありません!

DSC_2324.jpg
保護後のワタル。
Hさん家の大好きな場所から離れようとしませんでした。
引っ張り出して、やっと連れて帰りました。


本当は帰りたかった。
IMAG0016.jpg
だって捕獲器に入る前、ちゃんとお家に来ていたんだから。

でも帰る勇気がない。
だから、早く保護してあげなくてはいけない。

今回、保護できたのはワタルが逸走していた13日間。
睡眠もままならず、ずっと頑張って探し続けていたHさんの力も大きかったです。
DSC_2282_20191015085921e4c.jpg
これは捜索中の一コマ。
私が
「自転車が有効」
といえば、すぐに購入し、
かばんには、おやつや、リードやチラシやテープなど、たくさん持って出かけ、
どこでも行けるように長靴をはいて、どこでも入っていける準備をし。

写真は奥さんだけですが、ご主人も同じ準備をしていました。

トライアル中の逸走なのでこの時点では、戻すとは言っていませんでしたが、
それでもワタルを案じ、懸命な捜索をしてくださいました。

ここまで相思相愛な人間とワンコを、引き離したいとは思いません。
またワタルが一緒に暮らせるようにと思っています。

 

(by 10/8 しみゃおさんブログより・転載ドラメイ)

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